エレビットの評判ブログ。葉酸多すぎるけど大丈夫?

葉酸サプリクラブ管理人(サプリメントアドバイザー&サプリメントマイスターの笹目)です。

バイエル薬品株式会社のelevit(エレビット®)は、世界62の国と地域で販売されている世界レベルのプレナタルサプリメント(妊娠準備期間=妊娠前~妊娠中に飲むサプリ)です。2016年7月から日本でも「葉酸マルチビタミンサプリ」として販売がスタートしました。

葉酸が800μgも配合されていて「多すぎなのでは?」と気になっている人も多いと思います。

そこで、サプリメントアドバイザーがエレビットの成分の安全性を辛口で評価してみます。世間の評判と同じ結果になるのか、違う結果になるのか、じっくりとお読みください。

エレビットを採点!

※「エレベット」「エベレット」とよく間違えられやすいですが、「エレビット」が正解です。

エレビット®をサプリのプロが辛口評価

注文→到着→梱包の配慮星3個3.0

エレベット到着

注文が金曜日だったため、商品の出荷連絡は翌週の月曜日でした。翌営業日には出荷されるようです。エレビットは、真っ白なクッション入り封筒に入って佐川の飛脚メール便で届きます。

伝票部分は「エレビットオンラインショップ配送センター」の差出人名だけで、商品名の記載はありません。妊活中の人でも中身を知られることがなくて安心です。

※2017年12月16日追記
定期購入を1ヶ月でやめたら、こんなハガキが届きました。

エレビットはがき

商品名はもちろん、「これから赤ちゃんを迎える日のために」と書いてあって、妊活・妊娠中であることがバレバレです。商品到着時の商品名の書かれていない配慮が台無しです。せめて圧着ハガキにして裏面の内容は隠しましょうよ・・・。

プロの辛口評価

ダンボールでかさばることもなくて、余計な情報は書かれてないシンプルな梱包は好印象です。・・・と思ったら、定期購入を解約すると文面むき出しのハガキが後日送られてきます。


飲みやすさ(粒の大きさ、ニオイ、味)星3.5個3.5

エレベット表面

表面は光沢があってツルツルとしたコーティングがされていて、感触が気持ちいいくらいです。写真ではわかりにくいかもしれませんが、他社の葉酸サプリとハッキリ異なるのが粒の色です。なんとピンク色をしています。ピンク色で「かわいらしさ」はありますが、不要な着色をしている証拠です。着色料の安全性についてはこのあと詳しく解説します。

エレビット横幅
エレビット高さ

大きさ
幅0.9cm、厚み0.5cmで、ベルタやママニック、はぐくみと同じ大きさです。葉酸サプリの標準サイズと言ってよいです。粒の形状が少し丸みを帯びていますが、手に取ると意外と平たい印象も受けて、飲んだときの角っぽさが気になります。サプリの高さ(厚み)も感じる形状のため、のどごしが気になる人もいるかもしれません。

ニオイ・味
無味無臭です。ニオイや味はありませんので、つわりのときでも安心して飲めます。

プロの辛口評価

粒に厚みと角っぽさがありますので、物理的な飲みにくさを感じる人が出てきそうですが、無味無臭なのでつわり中でも安心です。


会社・代表者の信頼性星2.5個2.5

バイエル薬品株式会社の大元「バイエル」は、1863年にドイツのバルメンにある染料工場からスタートしています。日本はまだ江戸時代です。

バイエルの代表商品は「アスピリン」という解熱鎮痛剤です。日本はもちろん、世界で一番有名な鎮痛剤と言われています。現在の会社名になったのは1973年ですが、日本でのアスピリンの取り扱いは1900年にスタートしています。

連結売上高は、463億ユーロです。現在は1ユーロ120円ほどですから、売上5兆6,000億円(!)、従業員数10万人超えという超巨大企業です。日本の製薬会社のトップが武田薬品工業(1兆8,000億円、従業員3万人)ですから、バイエルの巨大っぷりがわかると思います。

そんなバイエルの日本法人的な立ち位置にいるのが、大阪に本社を構える「バイエル薬品株式会社」です。世界のバイエルをいち早く日本に届けること、人々のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上に貢献することを企業姿勢として掲げています。

エレビットの日本発売時には、タレントの乙葉さん、金子貴俊さんを起用したPRイベントを開催するなど、バイエルの圧倒的な資金力を武器に大々的にプロモーションが行なわれていました。

代表は2017年1月1日に就任したハイケ・プリンツさん。女性です。2013年からドイツ本社で医療用医薬品部門責任者スタッフ室長をしていた人です。就任したばかりなので、この記事を書いている時点では、まだ代表メッセージはホームページに載せていません。真っ当な企業なので、いずれ掲載されると思います。

なお、バイエルには「コンシューマーヘルス(一般消費者向け)」事業部があって、この日本代表を務めているのが、植田あゆみさんです。薬剤師として活動を開始したのちに、バイエルに入社して、2014年から日本のコンシューマーヘルス部門の代表を務めています。

バイエルの広報誌では「コンシューマーヘルス市場でバイエルの地位を確立すること。今後10年で、日本でトップ10の存在に押し上げたい」という目標を、詳細な経歴や写真を載せつつ語っています。

会社の実績、代表者の透明性も言うことなしです。

2017年5月28日追記
真っ当な企業だと思っていたのですが、社員が医師に依頼して無断で患者のカルテを閲覧したり(※1)、血栓症の治療薬「イグザレルト」の副作用を国に報告しなかったり(※2)、色々と問題が相次いでいるようです。
(※1)バイエル薬品の社員、患者のカルテを無断閲覧 – 産経WEST
(※2)バイエル薬品 副作用12例を国に報告せず | NHKニュース

2018年1月6日追記
ハイケ・プリンツ社長が謝罪会見をしていました。
バイエル薬品・プリンツ社長 抗凝固薬・イグザレルトの患者調査問題で謝罪 3か月間10%減俸

プロの辛口評価

バイエルは世界レベルで名の知れた製薬メーカーです。確固たる歴史と実績がありますので、もはや会社の信頼性を疑う余地がない・・・と思っていたのですが、残念ながらそうではなかったようです。信頼回復に努めてほしいです。


製造・検査体制星5個5.0

歴史と実績あるエレビットですが、実はバイエル薬品株式会社として、日本でサプリを販売するのは今回の「エレビット」が初めてです。日本国内のサプリ販売の実績はゼロからスタートです。

しかし、品質は製薬メーカー基準です。製造工場は健康食品GMPに準拠です。日本健康・栄養食品協会認定の工場です。すべての原材料で受入試験を実施済みです。受入試験とは、依頼した原材料に間違いないがないか、納品時に確認することです。

成分の配合量は、「バイエルグローバルガイドライン」という独自基準内に収まるように調整しています。この「バイエルグローバルガイドライン」の数値がどうなっているのかは不明ですが、「食品添加物法令より厳しい」基準のようです。

また、残留農薬、アレルギー、放射性物質の試験にもクリアしています。

プロの辛口評価

製造工場は「健康食品GMP」になっていますが、製薬会社として培った経験や独自基準を取り入れています。安心して良いでしょう。


原材料、添加物の信頼・安全性星1.5個1.5

エレベット原材料

食用精製加工油脂、マンガン含有ビール酵母/貝Ca、酸化Mg、セルロース、V.C、ピロリン酸鉄、HPMC、HPC、グルコン酸亜鉛、ステアリン酸Ca、酸化ケイ素、β-カロテン、ナイアシン、着色料(酸化チタン、カルミン酸)、ショ糖エステル、酢酸V.E、グルコン酸銅、パントテン酸Ca、グリセリン、V.B6、V.B1、V.B2、葉酸、ビオチン、V.D、V.B12

気になる原材料をチェックしていきます。

食用精製加工油脂
言わずと知れたマーガリンの原材料に使われている例の油です。液体の油に水素を添加して、固形状にしたものです。その過程のおいて「トランス脂肪酸」が発生します。「プレミン」や「はぐくみ葉酸」でも使われています。詳細は、はぐくみ葉酸の記事で書きましたので、興味のある場合は読んでおいてください。

参照はぐくみ葉酸は、食事性葉酸とモノグルタミン酸型の葉酸、どちらも配合した唯一の葉酸サプリ

問題は、トランス脂肪酸が含まれるかどうかです。食用精製加工油脂を原材料に使っているサプリメーカーに何社か問い合わせましたが、基本的に「トランス脂肪酸は含まれない」と考えて良さそうです。

というのは、マーガリンやクッキーなどは、おいしさを損ねないためには部分的に水素を添加する必要があるのですが、サプリにおいしさは必要ありません。なので、水素を部分添加ではなくて完全添加にしているものと思います。完全に水素を添加した場合は、トランス脂肪酸は含まれません。

さらに、消費者庁はトランス脂肪酸の情報開示に関する指針(PDF)の中で

食品100g当たり(清涼飲料水等にあっては100ml当たり)のトランス脂肪酸の含有量が0.3g未満である場合には、0gと表示しても差し支えない。

と公表しています。エレビットは0.1g未満ですので、「トランス脂肪酸は含まれない」と言ってよいです。

HPC
ヒドロキシプロピルセルロースの略です。天然素材のセルロースを原料とした製造用材です。HPMCを加えることで、スムーズに製造できるようになります。コーティングや結合の役目も果たします。AFC葉酸サプリにも使われています。

参照AFC葉酸サプリ(株式会社エーエフシー)は合成葉酸で信頼性が抜群!

HPMC
ヒドロキシプロピルメチルセルロースの略です。HPCを加工したセルロースです。役割としては、HPCとほぼ同じです。「プレネイタル 1/2スプリット」葉酸メニーミックスマルチビタミンミネラル(ニュー・サイエンス)でも使われています。

FAO(国際連合食糧農業機関)/WHO(世界保健機関)の食品添加物専門家会議(JECFA)では、HPMCもHPCも「ADIを特定しない」という評価が下されています。

ADIとは一生飲み続けても害がないとされる量のことです。このADIを特定しないということは、毒性が非常に低くて、健康に害を及ぼさない物質になります。

(参考:ヒドロキシプロピルセルロースを添加物として定めることに係る食品健康影響評価に関する審議結果-食品安全委員会(PDF)

酸化チタン(着色料)
酸化チタンは「美タミーナ葉酸サプリ+」でもレビューしましたが、世界保健機関(WHO)の外部組織である国際がん研究機関(IARC)が、「人に対する発がん性が疑われる」と評価している物質です。厚生労働省が公表している「有害性総合評価表(PDF)」の中でも記載されています。

また、IARCの評価は2006年に公表されたものですが、2016年6月にフランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)が、発がん性を1Bに分類することを欧州化学品庁(ECHA)に提案しています。

(参照:フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)、二酸化チタンの吸入による発がん性を1Bと分類することを欧州化学品庁(ECHA)に提案したことを発表

グループ2からグループ1に昇格(悪化)しているのです。これはあくまでもラットの研究が元になっているのですが、ヒトに対して実験をするのは倫理的に限界があるので、「議論中」という結論になっています。

日本でもまだ議論は続いているようで、「平成28年度化学物質のリスク評価検討会報告書を公表します~酸化チタン(Ⅳ)による健康障害の防止措置を直ちに見当~(PDF)」という報告書もリリースされています。

そもそも論として、栄養を補助するのが目的のサプリに着色料自体が不要です。そのため、着色料を使っている時点で評価を下げざるを得ないのですが、よりによって酸化チタンを使うのが理解できません。私個人的にも、酸化チタン入りのサプリは飲みません。

カルミン酸(着色料)
またしても着色料です。カルミン酸は別名「コチニール」のことです。コチニールはエンジムシ(コチニールカイガラムシ)から抽出します。これが、エレビットの粒がピンク色をしている要因です。

コチニール色素は、消費者庁が「急性アレルギー反応(アナフィラキシー)」を引き起こす可能性があるとして、注意喚起をしています。

コチニール色素を含む化粧品の使用や食品の摂取により、アナフィラキシーを引き起こしたと推定される事例が、1960 年代から数にして20ほどの論文等で報告されています。急性のアレルギーを発症した場合、呼吸困難などの重篤な症状となる可能性もあるため、消費者庁として注意喚起を行います。
引用元:コチニール色素に関する注意喚起-消費者庁消費者安全課(PDF)

それなのに、妊活中・妊娠中の女性向けサプリをピンク色に着色する必要ってあるのでしょうか?一部の生協では、酸化チタンもコチニール色素も使用禁止添加物に指定しています。

念のために書いておきますが、酸化チタンもカルミン酸も厚生労働省は添加物としての使用を認めています。

使ってはいけないものを使っているわけではありませんので、誤解のないようにお願いします。辛口レビューをすると、このような評価になってしまうだけの話です。過度な心配は無用です。

コチニール色素のアレルギーも、原料のコチニールカイガラムシのタンパク質が原因です。コチニールカイガラムシをそのまま食べたら問題ありですが、抽出した色素自体には問題がないのです。

ちなみに、カルミン酸の原材料となるカイガラムシは、「AFC葉酸サプリ」「小林製薬の葉酸 鉄 カルシウム」でも使われています。

ですが、AFCや小林製薬は「光沢剤」として使用しています。光沢剤として使用するには、カイガラムシから抽出した着色成分をさらに抽出してるため、安全性も高まります。

酸化チタンの発がん性も「吸引」した場合の話であって、「食べた」場合の話ではありません。なので、ADIも設定されていませんので、どうぞ安心して好きなだけ着色料を摂取してください。キシリトール入りの歯磨き粉など、日用品にも多く使われているメジャーな添加物です。

※2019年9月5日追記
「使ってはいけないものを使っているわけではありません」と書きましたのですが、2020年からフランスでは、食品添加物として二酸化チタンを使うことを禁止することが発表されました。
参考:食品添加物の二酸化チタン(TiO2/E171)を2020年から禁止

こういったことは日本の対応は遅いので、日本では2020年以降も禁止されることはないと思います。あくまでフランスの話です。


プロの辛口評価

健康に必要のない着色料を2種類も使用していて、どちらも安全性に懸念を感じる添加物です。サプリに色を付けておいしく見せる必要ってあるのでしょうか?


配合成分の過不足星2.5個2.5

エレビットは鉄が21.5mg配合されていますので、妊活開始から出産まで使える葉酸サプリとしてチェックしていきます。推奨量の( )内は妊娠初期、中期、後期の量。

  エレビット 推奨摂取量 平均摂取量 耐容上限量 判定
葉酸(μg) 800 640(640、480) 243 1000
ビタミンB6(mg) 1.4 1.2(1.4) 0.95 45
ビタミンB12(μg) 2.8μg 2.4(2.8) 4.3 なし
ビタミンC(mg) 100mg 100(110) 69 なし
鉄(mg) 21.5 6.5(9、21.5) 6.5 40
カルシウム(mg) 125 650(650) 430 2500

葉酸
まず、葉酸の種類は合成葉酸100%です。その合成葉酸を800μgも配合しています。厚生労働省が推奨している2倍の量です。800μg配合している理由は、「ドイツの大学の研究で400μgよりも800μgのほうが、体内の葉酸濃度をより早く満たすとわかったから」的な理由らしいです。

要するに、クレアチンの「ローディング理論」のようなものです。クレアチンとはアミノ酸の一種で、短期間に激しい運動する人向けのサプリとして売られています。

クレアチンは、飲み方が他のサプリとは違って、最初に「ローディング(体内に貯めること)」をします。体内にクレアチンが満タンになるまでは、通常の摂取量よりも多く摂取する飲み方です。

ですが、これを葉酸に当てはめるのはリスクが高いです。葉酸の耐容上限量は1,000μgです。厚生労働省がなぜサプリからの摂取を「1日400μg」に設定したのかを考えなければいけません

世界各国の大規模な葉酸による研究では、1日360μg~5,000μgの葉酸が用いられています。ところが、高配合のモノグルタミン酸葉酸を長期間摂取すると、健康障害を引き起こす研究が複数報告されています。

そのため、日本の厚生労働省は、研究報告の中で最も低い360μgを平準化(要するに四捨五入みたいなこと)した400μgを「安全性」と「有用性」の両立が図れる量として設定しているのです。

医師が「ハイリスク群」などを理由に指示した場合を除いて、サプリで1日400μg以上摂取してはいけないのです。これは私が勝手に言っていることではありません。政府機関や医療機関も参考にしている超信頼できる資料を元にしています。


↑超信頼できる葉酸の安全性に関する研究報告。

厚生労働省も、「葉酸摂取量が増えるに伴い大きな低減がみられるという関係は認められていない」と、摂取量を多くしても意味はないと否定しています。


引用:厚生労働省発表資料より(下線は葉酸サプリクラブにて強調)

ちなみに、ネット上には「葉酸は水溶性ビタミンだから、サプリで過剰に摂取しても尿で排出されるから大丈夫」などという、とんでもない嘘情報が出回っていますが、100%完全に間違っています。過剰摂取という概念がないのは、食事性葉酸(ポリグルタミン酸型=天然葉酸)のほうです。

水溶性ビタミンの中でも、葉酸(モノグルタミン酸型)、ナイアシン、ビタミンB6の3つは、耐容上限量が定められている「例外3兄弟」です。この例外3兄弟に対して、「水溶性ビタミンだから、過剰に摂取してもすぐに尿で排泄されるから大丈夫」なんて、口が裂けても言ってはいけません。

日本は栄養が少ないことのリスクよりも、栄養が多いこと(過剰摂取)のリスクを重視する傾向にあります。これまで海外で売られてきたエレビットはすべて800μgのようですが、日本で売る以上は400μgに調整してほしかったです。


鉄も配合量が多すぎます。一応、海外では60mgになっているのを、「日本人の食事摂取基準」に合わせて21.5mgに減らしたのは見てとれます。妊娠中期・後期の推奨摂取量21.5mgに合わせています。

ですが、サプリの考え方が根本的に間違っています。サプリは「食事だけでは足りない栄養素を補うもの」です。サプリだけで推奨摂取量を満たすものではありません。

これが、耐容上限量のない栄養素や、耐容上限量まで余裕のある配合量なら問題ないですが、日本人の鉄の耐容上限量は1日40mgです。サプリだけで上限量の半分を超えてしまうと、食事と組み合わせたときに過剰摂取になるリスクが高まります。

ここで海外の事例を出すと矛盾するかもしれませんが、海外のサプリでは「アイアン(鉄)フリー」をわざわざ強調していることもあります。化粧品で言う「合成界面活性剤フリー」みたいなものです。必要な栄養素ですが、摂り過ぎにも気をつける必要があるのです。

鉄の過剰摂取に注意
↑雑誌の特集でも鉄の摂り過ぎを指摘

特に、エレビットで使われている鉄は「非ヘム鉄(無機鉄)」です。非ヘム鉄は、ムカムカや毎朝スッキリしない原因になります。

そして、鉄のカタマリをイメージするとわかりますが、鉄は酸素に触れ続けると錆びます。体内にも酸素がありますので、サビの原因を大量に取り込むことになります。いわゆる「活性酸素」が発生します。

活性酸素は妊活の敵です。活性酸素から身を守らなければいけない妊活中に、活性酸素の元になる非ヘム鉄を大量に摂取するのは、大きなデメリットになります。(これが「ヘム鉄」ならその心配はありません)

そのため、妊活中なら、推奨摂取量10.5mgから30代女性の1日の平均摂取量(6.5mg)を引いた「4mg」がサプリで補うべき非ヘム鉄の量です。それを「21.5mg」という妊娠中期・後期の推奨摂取量になっているのが、エレビットです。

これは、妊娠中期・後期であっても多いです。食事から6.5mg摂れていますから、15mg摂れば十分です。15mgが、妊娠中期以降の鉄の配合量として最適値になります。サプリから21.5mgも摂る必要はありません。無駄に多いです。

カルシウム
葉酸や鉄が多すぎる一方で、カルシウムが足りていません。カルシウムは、妊活中・妊娠中だからと言って、通常よりも多く摂る必要はありません。推奨摂取量を満たしていれば大丈夫です。ですが、現代の日本人女性で推奨摂取量を満たせる人は少ないです。そのため、サプリで200mg以上補いたいのですが、エレビットは125mgしか入っていません。

β-カロテン
エレビットと、他の葉酸サプリとの違いはβカロテン(ビタミンA)の配合量にあります。7,200μg配合なので、天然のマルチビタミン・ミネラルサプリの美的ヌーボに匹敵する量が配合されています。

「妊娠初期にビタミンAを大量に摂ると胎児が奇形になるって聞いたけど、大丈夫なの?」という心配が生じるかもしれませんが、「レチノール」と「βカロテン」の2種類あるビタミンAのうち、問題なのは「レチノール」のほうです。

βカロテンの場合は、体内に必要な分だけビタミンAに変わってくれるという神機能を備えていますので、心配無用です。ただし、この高配合は妊活中・妊娠中ではなくて、授乳中のサプリに適している量です。

なお、喫煙中のβカロテンの大量摂取はリスクが高いので、妊娠前であってもタバコを吸うのはやめるべきです。


プロの辛口評価

葉酸、鉄ともに耐容上限量にはおさまっていますが、それでも明らかに多すぎです。その反面、カルシウムが少なくて、栄養バランスが悪いです。


価格と内容量の妥当性星4個4.0

単品4,500 円(税込)ですが、定期購入で10%OFFの4,050円(税込)になります。他社と比べて定期購入の割引率が低いように感じますが、他社のは単品価格を高く設定して、定期購入が安く見えるようにするマーケティング手法だと思います(笑)そういったマーケティング手法を使わないところは、好感が持てます。

価格が高くなるような天然原料は、ビール酵母くらいです。あとは、葉酸、鉄、βカロテンが他社よりも多いです。カルシウムは少ないです。それを考えると、妥当な価格帯と言えます。

ただ、他社の定期は3,000円台が多いので、4,000円台になると高く感じるかもしれません。それでも、ベルタ葉酸サプリよりも70円高いだけです。誤差の範囲と言ってよいです。また、定期の解約も購入者マイページの「定期購入履歴」から回数縛りなく解約できるようになっているので安心です。

ただし、冒頭にも書きましたが、解約すると「1ヶ月でやめるのはもったいない!」と、書かれたハガキが届きます。理由があって解約したのに、こちらの意向を踏みにじるような文面で不快です。

ちなみに、楽天でも売っていますが、定期購入はできなくて単品4,395円(税込)+送料がかかってしまいます。Amazonでも売っていますが、販売店(あだち薬局)が利益を上乗せして5,000円(税込)になっています。価格は公式サイトが一番安いです。


プロの辛口評価

合成素材が多くを占めていますが、葉酸・鉄・βカロテンの高配合を考えれば、決して高くない価格です。ただし、Amazonの5,000円は高すぎです。

結論:葉酸や鉄が多すぎる上に、2種類の着色料で台無し

バイエル薬品株式会社のelevit(エレビット®)は、150年以上の歴史を持つドイツの製薬会社が、1984年からスイスを皮切りに世界62カ国で販売してきたサプリです。2016年7月に63カ国目として、満を持して日本でも発売開始されました。

これによって、「葉酸サプリと言えば、エレベット」「妊娠を意識したら飲み始めるサプリと言えば、エレビット」・・・そんな時代がようやく日本にも来たかと思ったのですが、時期尚早でした。

エレビットは「厚生労働省が定めた栄養摂取基準を取り入れ、日本人女性のために開発されました」と謳っていますが、厚生労働省は「サプリから葉酸を1日800μg摂りましょう」なんて言っていません。「1日400μg」です。

葉酸の耐容上限量は1日1,000μgまでになっていますが、サプリからは1日400μgが国から推奨されている以上、800μgのエレビットを勝手におすすめすることは、サプリメントアドバイザーの立場上できません。また、鉄に関しても同様で、サプリのみで耐容上限量の半分を超えてしまうのは多すぎです。

一方で、こんな考えが浮かぶかもしれません。「葉酸や鉄が多いなら、1日3粒から2粒に減らして飲めばいいのでは?長持ちするし、安く済む!」と。確かに、それは一理あります。

ところが、エレビットで摂れる葉酸は1粒266μgです。2粒に減らしても532μgで、400μgを大きく超えてしまいます。鉄も1粒6.6mgなので、2粒で13.2mgです。鉄が圧倒的に不足する妊娠中期・後期だけなら良いですが、エレビットは「プレナタルサプリメント」で、妊娠前から長期的に飲むことを想定しています。

非ヘム鉄を通常時から長期的に13mgも飲み続けるのは、体へのデメリットのほうが気になります。そのため、「粒の数を減らせばいい」という問題でもありません。

また、エレビットは着色料として「酸化チタン」と「カルミン酸」をダブルで使用しています。公式サイトでは、「無添加(香料、保存料不使用)」を謳っていますが、着色料を2種類も使っておいて「無添加」アピールはさすがに無理があります。なぜ、着色料も無添加にしなかったのでしょうか?

酸化チタンは、鉄剤「フェロミア」にも使われています。医師が妊婦に処方する鉄剤にも使われている添加物です。薬は一時的に飲むものなので、私が妊婦だったとしても処方されたら飲むと思います。

ですが、長期的に飲むサプリに対して、安全性評価に議論が出ている添加物を妊婦向けのサプリに使うのが理解できませんでした。もちろん、ADIの範囲内なら過度な心配は不要ですし、酸化チタンはADIすら設定されていないくらい安全という判断です。

それでも、サプリは味わって食べるものではないのですから、不自然な色付けをする必要がないのです。他社の葉酸サプリは、味わって食べるキャンディタイプやタブレットタイプでない限り、着色料なんて使っていないものばかりです。わざわざ着色料入りのサプリを選ぶ理由がないです。何の健康にも繋がりません。

エレビットは、海外での販売実績はあります。ですが、日本の「バイエル薬品株式会社」のコンシューマーヘルス部門から、サプリを販売するのは「エレビット」が初めてです。

「医師はサプリの専門家ではない」ことは当サイトでも強調していますが、製薬メーカーもサプリの専門会社ではありません。今回はその専門領域の違いが出てしまった気がします。

妊活中や妊娠中は、食べるものの安全性にいつも以上に敏感になる時期です。バイエル薬品さんには、少しでも消費者が不安を感じる要素は排除していただいて、妊活中・妊娠中の女性が安心して飲めるサプリに改良していただきたいと思います。応援しています!

エレビットはこんな人におすすめ

  • 葉酸や鉄を多く摂ることのデメリットを理解したうえで、それでもメリットのほうが大きいと思う人
  • 不要な着色料が使われたサプリを毎日飲みたい人

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