葉酸サプリクラブ管理人(サプリメントアドバイザー&サプリメントマイスターの笹目)です。
グラース・グラース「マタニティサポート葉酸メニーミックス」ですが、「天然の葉酸」「無添加」「無農薬」「自然由来」「化学合成ではない」ということで、口コミでも人気上昇中の葉酸サプリメントです。本当に天然・自然由来なら安全なのか辛口でレビューしてみます。
グラース・グラースの「葉酸メニーミックス」をプロが辛口チェック
- 飲みやすさ(粒の大きさ、ニオイ、味)
ほぼ無味無臭ですが、粒はかなりの大粒(長さ2.1cm)のカプセルで、当サイトでレビューしている葉酸サプリの中でニューサイエンスのマルチビタミンミネラルの次に大きいです。アメリカで作ったサプリ感は出ていますが、つわりの時期と重なる妊娠初期にはかなり苦労すると思います。
妊婦向けとは言いがたいビッグサイズで、だいぶ飲みにくいです。
- 会社・代表者の信頼性
販売店のグラース・グラースですが、無添加の美容、健康食品にこだわって販売している個人運営のショップのようです。店長は松下恵美さん。もともと体質に悩みを抱えていたそうですが、そんな自身でも使えている無添加の商品を紹介するのがコンセプトのようです。ショップのトップページに顔写真を載せてメッセージを寄せています。
松下恵美さんは、新生活普及協会(株式会社SSFK研修センター)認定のサプリメント管理士という資格をお持ちのようです。この新生活普及協会ですが、今回初めて知りました。「特定非営利活動法人」なので、新生活普及協会という協会の事業活動にのみ利益を当てていきます。資格商法の金儲け団体ではないのは好感が持てます。
ただし、グラース・グラースの販売ページを見ると、「安心宣言」と称して「赤ちゃんのためには天然の葉酸を選ぶ」「自然由来だから安心」的なメッセージを発信しています。しかし、「天然素材、自然素材なら安心」は嘘であることを、別記事「嘘情報に注意!葉酸サプリメントの間違った選び方」でお伝えしたとおりです。
改めて書きますが、厚生労働省は、
「天然・自然です」とうたうことが、その製品の安全性や有効性を証明するものではありません。
引用:健康食品情報の冷静な受け止め方 Q&Aと言っていますし、日本医師会も、
「食品だから安心」、「天然成分だから安全」は誤解で、天然成分由来の健康食品でも、アレルギー症状や医薬品との相互作用を起こすものがあります。特に、病人、子ども、妊産婦、高齢者、アレルギー体質のある方などは、要注意です。
引用:「健康食品」・サプリメントについて|日本医師会と、注意喚起をしているのが現実です。新生活普及協会のテキストがどういう内容なのかわかりませんが、サプリメント管理士という立場にいるのに「天然・自然素材なら安心」といった誤解を招く方法で、サプリを売っているのはちょっと残念です。
また、気になったのが「原料はすべて無農薬」という表示です。「無農薬」という表示は農林水産省の「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」により禁止されています。
海外でオーガニック認証を受けている商品を輸入販売する場合でも、有機JAS認証を受けていないと「有機」や「無農薬」などの表示はできません。
輸入した農産物等に有機JASマークが貼付されていないのに、日本語で「有機」等の表示をして販売することはできません。
参考:有機農産物の表示概要ただし、商品パッケージに表示するのは法律で認められていませんが、ホームページに記載するのは現状は問題ありません。そこを上手くかいくぐっています。日本で販売するために、日本で有機JAS認定を受けているなら完璧なのですが、アメリカのオーガニック認定が基準になっているわけです。
アメリカの農薬基準は日本よりも緩くて、「日本の残留農薬やポストハーベスト(収穫後に使用する農薬)の基準が厳しすぎるから緩くしろ」と言ってくるのがアメリカです。(参考:米が対日要求70項目/残留農薬・食品添加物の基準緩めよ)
そして、日本ではたとえ有機JAS認定を受けていても「無農薬」とパッケージに表記することは禁止されています。なぜなら、近隣の畑が農薬を散布していて、飛散農薬で付着してしまう可能性があるからです。JAS法ではパッケージ表示で禁止されていることを、ホームページで過剰にアピールして販売しているのはあまり良い印象は受けません。
「天然素材=安心・安全」みたいな安易なイメージを与えるような表記は、同じサプリのプロとして同意できないです。
- 製造・検査体制
葉酸メニーミックスは、「医療用サプリメント全米1位にランクされた会社」で製造しているそうです。ということは、ダグラスラボラトリーズ社のOEM商品ということです。ダグラスラボラトリーズ社の工場はGMP準拠していますから、品質管理体制は問題ありません。
天然とか無添加とか自然由来とかよりも「GMP準拠」の工場で製造管理していることのほうが安心・安全を測る材料として重要な項目となります。
GMP工場で製造されていますので、安心です。
- 原材料(添加物)の信頼・安全性
貝カルシウム粉末、ミネラル含有酵母、ビタミンC、大豆抽出物、ナイアシンアミド、パントテン酸カルシウム、マリーゴールド花部抽出物、デュナリエラサリナ抽出物、ピリドキシン塩酸塩、リボフラビン、チアミン塩酸塩、葉酸、ビオチン、海藻灰抽出物、魚肝油抽出物、シアノコバラミン、微小繊維状セルロース、HPMC、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素
「天然成分100%」とのことですが、一見すると化学製品のような名称が散見されます。しかし、ナイアシンアミド(ビタミンB3)、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)、リボフラビン(ビタミンB2)、チアミン塩酸塩(ビタミンB1)、シアノコバラミン(ビタミンB12)・・・これらは全てビタミンB群です。普通、これらの物質名が書かれている場合は天然ではなくて「合成」ビタミンを指します。
一方、添加物としては後半に書かれている「微小繊維状セルロース」「HPMC」「ステアリン酸マグネシウム」「二酸化ケイ素」が該当します。
微小繊維状セルロースは、パルプ、または綿を微小な繊維状にして得られる製造用剤です。まだ安全性を断言できる評価データはありませんので、葉酸カルシウムプラス(ピジョン)の「微結晶セルロース」や、小林製薬の「葉酸 鉄 カルシウム」の「結晶セルロース」のような立ち位置の添加物です。一部の生協では使用を保留しています。
HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)はカプセルを作るための製造用材です。女性100人の声から生まれた葉酸サプリ(エーエフシー)に使われていた「HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)」とは微妙に違います。
HPCのほうは人によってはゴロゴロピーするくらいで、毒性は極めて低い添加物です。一方、HPMCはラット実験でヘモグロビンの問題が生じています。安全性はエーエフシー葉酸のHPCのほうが上ですが、HPMCも「適切に使用される場合、安全性に懸念がない」とされています。
ステアリン酸マグネシウム(製造用材)は全く問題ありません。二酸化ケイ素(賦形剤=ふけいざい=サプリの形状をつくるためにカサ増しする添加物)も毒性はありません。人工甘味料、香料、着色料などの不要な添加物は使われていません。
一方、気になったのは「マリーゴールド花部抽出物」です。マリーゴールドとは、別名「キンセンカ」と呼ばれるキク科の植物です。妊娠中のキンセンカ抽出物の摂取は流産に繋がる恐れがありますので、妊婦は口にしてはいけません。
また「大豆抽出物」もイソフラボンが含まれますので、葉酸が摂れる食品記事でも書きましたが、妊娠中は通常の食事以外に摂取するのは好ましくありません。
ただし、マリーゴールドはルテインの抽出に使っただけで、マリーゴールドの成分は入っていないそうです。大豆抽出物もビタミンEの抽出に使っただけで、ごく微量しかイソフラボンは含まれていないそうです。
医療用サプリメント全米1位に「ダグラスラボラトリーズ社」に成分の選定、検査、製造を依頼したそうですので、安心して良いレベルかなと思います。
妊娠中は気になる原材料が使われていますが、大丈夫でしょう。
- 配合成分の過不足
葉酸メニーミックスは、鉄が13.5mgですので、妊娠初期までの葉酸サプリとして成分チェックしていきます。( )内は妊娠初期の量。
葉酸メニーミックス 推奨摂取量 平均摂取量 耐容上限量 判定 葉酸(μg) 400 640 243 1000 ビタミンB6(mg) 1.0 1.2(1.4) 0.95 45 ビタミンB12(μg) 5.0 2.4(2.8) 4.3 なし ビタミンC(mg) 40 100(110) 69 なし 鉄(mg) 13.5 6.5(9) 6.5 40 カルシウム(mg) 75 650 430 2500 葉酸の種類は、アルファルファ由来の葉酸を「加工したポリグルタミン酸型葉酸」のようです。天然葉酸を謳っていますが、原材料欄にも「葉酸」の文字がありますし、食事と同じ天然葉酸は摂取できません。
アメリカ産のサプリメントは栄養素の配合量が多く、過剰摂取の不安がつきまといます。ビタミンとミネラルの美的ヌーボはビタミンB6を過剰摂取してしまうため、当・葉酸サプリクラブでは現時点ではおすすめできません。
一方で、葉酸メニーミックスはアメリカ産でありながら、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」に合わせて過剰摂取にならないよう調整されています。この点は評価できます。葉酸と同時摂取が有用なビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンCも全て含まれています。
しかし、カルシウムは平均摂取量と合わせても推奨摂取量には146mg足りません。合成素材のサプリメントの場合はカルシウムが少ない分を賦形剤で補うことになるため、栄養に関係ない成分が増えることになります。
その点、葉酸メニーミックスはその他のビタミン・ミネラルで補えていますので、「栄養のない賦形剤のカタマリを飲んでいるだけ」ということにはなりませんが、カルシウムの量がちょっと寂しいです。同じ鉄13.5mg配合なら小林製薬の「葉酸 鉄 カルシウム」」のほうが全体的な栄養バランスが取れています。
添加物の量を減らす役割も果たしてくれるカルシウムが少ないです。
結論:粒はアメリカンサイズなのに、栄養面が微妙に足りない。
グラース・グラースの「葉酸メニーミックス」は、販売ページでやたら天然、自然由来を強調しています。アメリカ産のサプリメントをOEMで販売すると、大抵こうなります。自分自身の健康維持目的でしたら、天然素材のサプリメントを選ぶのは正しいです。化学素材では得られない相互作用が期待できるからです。
ですが、妊娠初期の妊婦さん(または妊活中の人)が、天然100%の葉酸(ポリグルタミン酸型葉酸)をサプリメントで1日400μg摂取するというのは、間違っています。
実際、葉酸メニーミックスに含まれている葉酸は、食事で摂れる葉酸(天然葉酸)ではありません。1日1,000μg以上摂取するとリスクが高まるため、耐容上限量が設定されているプテロイルモノグルタミン酸葉酸(合成葉酸)のほうです。
天然葉酸が摂取できない点は逆に安心して良いです。サプリメントで天然葉酸が摂れてしまったら、胎児の健康対策として意味がありませんので。しかし、実際は含有されているのは「プテロイルモノグルタミン酸葉酸」なのに、天然、自然だから安心安全みたいな広告表示も消費者に誤解を招く表現でいただけません。
そして、もっとも気になったのが、粒の大きさです。栄養成分は過剰摂取にならないように日本人の食事摂取基準に適合していたのですが、2.1cmという大きさは完全にアメリカンサイズです。日本国内産でここまでのサイズはなかなかお目にかかれません。つわりの時期に飲み込むのはなかなかキツイものがあると思います。
次に気になったのは、原材料に「マリーゴールド花部抽出物」を使用していたことです。マリーゴールドは妊活中や妊婦は摂取してはいけません。メーカー側は「ルテインの抽出に使っただけで、マリーゴールドの成分は含まれていない」と主張していますが、妊娠中にわざわざサプリメントでルテインを補助する必要はありません。
それよりも、平均摂取量に全然足りておらず、妊娠中に必要なカルシウムをもっと補えるようして欲しかったです。
ということで、妊婦に不足しているカルシウム配合量の物足りなさだけなら「B評価」でも良いですが、粒が大きさ妊娠初期のつわり時期に対応できていないことを考えると、あの大きさが苦にならない人じゃないと厳しいかなと思いました。
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